フリーアドレスを2年使って分かった効果と課題【実体験】
「フリーアドレスって実際どうなの?」という疑問をお持ちの方へ。約30人規模のオフィスでフリーアドレスを2年間運用した実体験をお伝えします。良かった点、困った点、そしてコロナ禍で固定席に戻った理由まで、包み隠さずレポートします。
この記事を書いた人
約30人規模のオフィスで2年間フリーアドレスを経験。座席管理システムの開発にも携わり、フリーアドレス運用のノウハウを蓄積。
1. 導入のきっかけ
私たちがフリーアドレスを導入することになったきっかけは、シンプルに「席が足りない」という問題でした。
当時のオフィスは約30人が働く規模。しかし、全員が同時に出社すると席が足りない状況が発生していました。会議室を臨時の作業スペースにしたり、外回りの人が帰ってきたら席を探し回ったり...という状態が続いていました。
「○○さんの席、今日いないから使っていいよ」
——こんなやり取りが毎日のように発生していました。
オフィスを広いところに移転する案もありましたが、コストがかかります。そこで浮上したのが「フリーアドレス」という選択肢でした。
「どうせ毎日全員が出社するわけじゃないなら、固定席をなくせばいいのでは?」という発想から、フリーアドレス導入の検討が始まりました。
2. 導入前の課題
フリーアドレス導入前、私たちのオフィスにはこんな課題がありました。
- 席が足りない - 全員出社するとフルで座れない
- 席の使われ方がバラバラ - 外出が多い人の席がいつも空いている
- 部署間の交流が少ない - いつも同じメンバーとしか話さない
- 席の固定化 - 「あの人はあの席」という暗黙のルールがあった
営業チームが全員戻ってくる月末や、社内会議が多い日は、席を探すところから仕事が始まるような状態でした。これは明らかに非効率でした。
3. 導入初期の様子
フリーアドレス導入は、最初は戸惑いもありました。導入初期の様子を振り返ります。
導入1週目
最初は「どこに座ればいいの?」という戸惑いの声が多数。慣れない人は、結局いつもと同じ場所に座ろうとする傾向がありました。
導入1ヶ月目
徐々に「今日はあっちに座ってみよう」という動きが出てきました。人気の席(窓際、電源が多い場所)の争奪戦が始まり、早い者勝ちの状況に。
導入3ヶ月目
席の取り合いを解消するため、抽選制を導入。公平に席が決まるようになり、不満が減少しました。
導入半年後
フリーアドレスが当たり前の文化として定着。「今日は誰の隣かな」と楽しみにする人も出てきました。
最初の1〜2週間は混乱があるものです。「すぐに慣れる」と思わず、社員の声を聞きながらルールを調整することが大切でした。
4. 良かった点・効果
2年間フリーアドレスを運用して、実感した良かった点をお伝えします。
毎日の変化が新鮮で楽しい
これが一番大きな効果でした。毎日席が入れ替わることで、新鮮な気持ちで仕事に取り組めるようになりました。
普段話さない人との会話が増えた
固定席だと、どうしても近くの人としか話さなくなります。フリーアドレスでは、今まであまり話したことがない人と隣になる機会が増え、部署を超えたコミュニケーションが自然に生まれました。
席不足問題の解消
当初の課題だった席不足は、フリーアドレス導入でほぼ解消。外出が多い人の席を有効活用できるようになり、「席がない」と困ることはほとんどなくなりました。
オフィスがきれいになった
毎日席を片付ける習慣がついたことで、オフィス全体が整理整頓されるようになりました。以前は個人の席に書類が山積みになっていましたが、それがなくなりました。
- 毎日の変化で新鮮な気持ち
- 部署を超えたコミュニケーション
- 席不足問題の解消
- オフィス環境の美化
5. 困った点・課題
もちろん、良いことばかりではありませんでした。正直に困った点もお伝えします。
チームメンバーが離れ離れになる
これが一番の課題でした。同じプロジェクトのメンバーがバラバラの席に座ると、ちょっとした相談がしにくくなります。
探し回る時間がもったいないと感じることがありました。
座席管理システムで「誰がどこにいるか」は確認できましたが、わざわざ遠くまで行くのは手間でした。結果的に、作業効率は少し落ちたと感じます。
私物の置き場所
ロッカーはありましたが、やはり「自分の席」がないというのは、最初は落ち着かないものでした。お気に入りの文房具やマグカップを毎日持ち運ぶのも、慣れるまでは面倒でした。
集中しにくい日もある
席によっては人通りが多かったり、話し声が気になったりすることも。静かに集中したい日に、にぎやかな席が当たると少しストレスでした。
良かった点
- 毎日新鮮
- コミュニケーション増
- 席不足解消
- オフィス美化
困った点
- チーム分散
- 私物管理の手間
- 集中しにくい時も
- 慣れるまでの時間
6. コロナ禍での変化
フリーアドレスを2年ほど運用していた2020年、新型コロナウイルスの流行により、状況が一変しました。
濃厚接触者の追跡問題
コロナ禍では、感染者が出た場合に「過去3〜4日間、誰の近くに座っていたか」を追跡する必要がありました。
フリーアドレスでは毎日席が変わるため、追跡が複雑になります。座席管理システムに履歴は残っていましたが、「Aさんの周囲にいた人を特定する」作業は思ったより大変でした。
- 濃厚接触者の特定が複雑
- 毎日異なる人と近くに座るリスク
- 感染拡大時の対応が難しい
固定席に戻す決断
検討の結果、私たちのオフィスではフリーアドレスをやめて固定席に戻すことを決断しました。
主な理由は以下の通りです。
- 濃厚接触者の追跡を簡単にするため
- 同じ人と長時間近くにいる状況を避けるため(ローテーション制に)
- 席の消毒を確実に行うため
正直、フリーアドレスの良さを手放すのは惜しかったですが、社員の安全を優先した結果です。
7. 振り返りと教訓
2年間のフリーアドレス運用を振り返って、得られた教訓をまとめます。
フリーアドレス自体は良い仕組み
コロナで固定席に戻しましたが、フリーアドレス自体は効果的な働き方だと実感しています。コミュニケーションの活性化、席の有効活用、オフィス環境の改善など、多くのメリットがありました。
ルール整備が重要
抽選制を導入するまでは、席の取り合いが問題になりました。公平なルールと、それを支えるシステムがあることで、フリーアドレスはスムーズに運用できます。
柔軟性を持つことが大切
コロナ禍で固定席に戻したように、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。「一度決めたから」と固執せず、必要に応じて変えられる体制を持っておくことが重要でした。
チーム作業とのバランス
チームメンバーが離れ離れになる課題は、「チームエリアを設ける」「プロジェクト期間中は近くに座る」などの工夫で解決できたかもしれません。完全ランダムではなく、業務内容に応じた柔軟性を持たせることも検討すべきでした。
8. これから導入する方へ
フリーアドレス導入を検討している方へ、経験者からのアドバイスです。
段階的に始める
いきなり全社導入ではなく、一部の部署やフロアから試験的に始めることをおすすめします。問題が見つかれば、全社展開前に対策できます。
社員の声を聞く
フリーアドレスを実際に使うのは社員です。導入前後で社員の意見を聞き、ルールを改善していくことが大切です。
座席管理システムを導入する
「誰がどこにいるか」を把握できるシステムは必須です。抽選機能があれば、席の偏りも防げます。私たちも途中から抽選制を導入したことで、不満が大幅に減りました。
完璧を求めない
最初から完璧な運用を目指す必要はありません。運用しながら改善していく姿勢が大切です。問題が出たら、その都度対応すればOKです。
課題もありましたが、総合的にはフリーアドレスを導入して良かったと思っています。毎日の変化が楽しく、コミュニケーションも増えました。導入を検討している方は、ぜひチャレンジしてみてください。